違いその3.【十二単(じゅうにひとえ)の重ねの部分】
着物は一番上に着ている唐衣(からぎぬ)にまず目がいきますが、
その下の「重ね」と呼ばれる部分にこそ違いがみられます。
お姫さまをやや上から見たところです。(着付け…眼楽亭富久月 作)

袖口の部分、つまり重ねの部分が下に行くたびに色彩がなだらかに変化して
いるのがわかります。これは「後ろの裾口部分」にまで連動しているので、
後ろ姿の色彩まで美しく表現した着付になります。
つぎはこちら。

どうでしょう?袖口の部分の色彩の変化は多少感じられるものの、後ろ姿は…
アレ?ない…。正面からは見えないところの作業工程を、完全に省略しています。
ちょっと比べるには差がありすぎましたが、このタイプはケース入りや収納飾り
タイプの比較的、お手頃価格のひな飾りに見られるお姫さまです。伝統工芸士と
呼ばれる方々は、まず作らないタイプです。
ただし…
普通の親王飾りで15万円ぐらいで売ってるお店を見たことがあります。
これ…完全に…ボッタクリです(怒)!!
作業工程を省いた人形が悪いわけではありません。
価格の違いが一般の人にはわかりにくいことをいいことに、
適正価格で販売していないお店の姿勢に問題があるのです。
※ちなみにこちら、重ねの美しさが絶品と称される清水久遊 作のお雛さま。

とまあ、こんな感じではありますが、ざっと違いを紹介させてもらいました。
前回のブログでもあるように、この3つだけが見るべきポイントではないので
興味があれば、どんどん店員さんに聞いてみて、これぞというお人形に
めぐり合って下さいね。それでは