ひな人形|縫 nui
愛らしい表情と確かな手仕事
節句人形職人ユニット 縫 nui
ふっくらとした頬に小さな口元。縫 nui(ぬい)の雛人形には、幼い子どもを思わせる愛らしい表情があります。
その親しみやすい姿をつくっているのは、それぞれの専門技術を持つ職人たち。鈴木大二朗さんを中心に、頭づくりや結髪、衣装の仕立てなど、異なる仕事を持ち寄って一組の雛人形に仕上げています。
桐塑を用いた木目込人形づくりに加え、草木染めや藍染めにも自ら取り組む縫 nui。受け継がれてきた技術を生かしながら、今の暮らしにも親しみやすい節句人形を生み出しています。
3つの特徴
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作家・工房紹介
縫 nuiの発足は2016年。節句人形づくりに携わる職人たちが、それぞれの技術を持ち寄って生まれたユニットです。
制作の中心を担うのは鈴木大二朗さん(画像:左)。自身も木目込人形の制作や染色に携わりながら、頭づくり、結髪、衣装の仕立て、木工など、各分野の職人たちと協力して人形づくりを続けています。
「縫 nui」という名前には、職人一人ひとりの思いや仕事を縫い合わせ、ひとつのものをつくるという意味が込められています。
▲ それぞれの専門技術を持ち寄り、2016年に発足した縫 nuiの職人たち。
(画像:左2番目から)顔の原型を鈴木順一朗さん、頭づくりを大豆生田博さん、衣裳着雛人形の着せ付けを山田吉徳さん・尚好さん夫妻、飾り台や屏風の制作はおもに畑口ツトムさんが担当。それぞれの専門技術が、縫 nuiの人形づくりを支えています。
01 造形|幼子を思わせる、愛らしい表情
縫 nuiの雛人形は、幼い子どものような柔らかな顔立ちが特徴です。まるい額やふっくらとした頬に加え、手足にも丸みを持たせ、人形全体に親しみやすさを与えています。
顔立ちだけでなく、髪の仕上げにも職人の技術が生かされています。黒染めした正絹のスガ糸を用い、伝統的な植え込み結髪によって整えられた黒髪。その自然な艶も、人形の表情を引き立てています。
衣装や飾り台の組み合わせによって、印象が変わるのも雛人形の面白さ。かわいらしく、あるいは落ち着いた雰囲気に。ひと組ごとの違いを見比べながら、お気に入りを選んでいただけます。
02 桐塑胴|木目込人形を支える素材
縫 nuiの木目込人形には「桐塑(とうそ)」の胴体が標準で使われています。
桐塑とは、桐のおがくずに糊を混ぜてつくる素材です。型に詰めて成形し、乾燥させた胴体に溝を彫ります。その上に布を当て、溝へ押し込み、衣装をまとった姿に仕上げる、伝統的な木目込人形の製法です。
▲ 木目込人形の桐塑ボディ。
完成すると衣装に隠れてしまう胴体ですが、そこには人形の形を支える大切な役割があります。長く飾り続ける雛人形だからこそ、縫 nuiでは見えない部分の素材にも目を向け、桐塑を用いた木目込人形づくりを大切にしています。
03 染色|人形のために、自ら色をつくる
縫 nuiでは、西陣織をはじめとするさまざまな生地を衣装に用いる一方、草木染めや藍染めにも取り組んでいます。植物から得られる染料を使い、鈴木さん自ら衣装生地を染めることもあります。
鈴木さんは日々の人形づくりのかたわら、現在も京都まで足を運び、染色を学び続けています。自ら布を染め、その色や風合いを確かめながら、人形の衣装にふさわしい色や染め方を探っています。
胴体には桐塑を用い、衣装の染色にも自ら取り組む。愛らしい造形の中にも、素材や技術を大切にし、工芸品としての品格をおろそかにしない。それが、縫 nuiの人形づくりに対する姿勢です。
津軽の手仕事を、おひなさまに
そんな縫 nuiのものづくりに共感した鯉徳が、新たな雛人形づくりに取り入れたのが、青森・津軽に伝わるこぎん刺しです。
こぎん刺しは、麻の布に綿糸で模様を刺し重ねる、津軽地方の伝統的な刺し子の技法。寒さの厳しい土地で、衣服を補強し、保温性を高めるために生まれました。暮らしの中で刺し模様にも工夫が重ねられ、独自の幾何学模様の美しさが育まれていきました。
刺繍を手がけるのは、青森県弘前市の弘前こぎん研究所。ひと針ずつ刺された模様を、縫 nuiの愛らしい雛人形の衣装に取り入れました。
素朴な麻の風合いと幾何学模様の美しさに、縫 nuiならではの愛らしい造形を重ねる。鯉徳が色や素材の組み合わせを考え、鈴木さんたちと相談を重ねながら形にしてきた、オリジナルのおひなさまです。
鯉徳から見る、縫 nui
縫 nuiの雛人形の魅力は、見た目のかわいらしさだけにとどまりません。
親しみやすい造形の中にも、伝統的な素材や技術を大切にする姿勢が見える。工芸品としての品格も備えている。
新しい表現に挑む柔軟さと、その根底にある確かな技術と美意識。この工房に惹かれるのは、そこに鯉徳が大切にしたいものづくりの姿があるからです。