ひな飾りの名脇役 ~雛道具~

ひな飾りの名脇役第三弾は、お殿さまやお姫さまの前に飾られる
【雛道具/ひなどうぐ】について。

業界では「お道具」とひとくくりに言われてはいますが、その種類は多種多様。
材質は、木製品とプラスチック製品があり、木地は朴(ほう)や楱(はん)などの
高級木材から洋材までと幅広くあります。

ひな飾りの段数により登場するお道具は違ってきます。


親王飾りで一般的なのはこの組み合わせ。
三方

【三宝(さんぽう・さんぼう)&菱餅(ひしもち)】とよばれます。

三宝の上には瓶子(へいし)があり、そこに口花が差してあります。
瓶子と三方の組み合わせは神道行事でも見られますが、ひな飾りに
なぜ現れたのかは実際、不明な点が多いようです。

つぎに菱餅について。菱餅の色、これには意味があるって知ってますか?
「雪(白)の中から葉(緑)が出て、それから花(ピンク)が咲く」という
「新しい生命の誕生と春の訪れ」を意味しているのです。
こういう日本の美的感覚…大好きです。
※コレに赤と黄の計五色のモノもありますが、そこでは
赤=太陽、黄=月という意味が加わるそうです。深い…。


これは【貝桶/かいおけ】とよばれるお道具。
回桶

三宝と菱餅よりもスッキリした印象を受けます。

こちらはその昔、遊戯で行われていた「貝合わせ」に使用する貝を入れる入れ物です。
でもなぜこんなモノがおひなさまの前に…??

じつは貝合わせに使用するハマグリなどの二枚貝は、
対となる貝殻としか組み合わせることができないので、
これが「夫婦和合」の象徴として、
縁起のいいモノだと考えられたからなのです…なるほど。


最近はこんな飾りも。
変形

中に手紙が入れられます。生まれてきてくれた喜びをそっと記して
お道具に忍ばせて置いたら、将来のサプライズになること間違いなし。



三段飾りになると御所車(ごしょぐるま)やお籠(かご)など、
当時のセレブが使用した乗り物が登場。
カゴ


七段になると上記のお道具に加え、いわゆる「嫁入り道具」と呼ばれる
タンス、鏡台、針箱などが次々に登場します。
嫁入り

驚きなのは、たとえそれらが小さくても、タンスの引き出しが開いたりするところ。
木目込み人形用の超コンパクトなお道具セットの引き出しが開いた時は
職人の芸の細かさに正直、感動すらおぼえました。


そんな職人が集まり、製作される有力産地は何といっても「静岡県」。
温暖多湿な気候と、久能山東照宮や浅間神社の造営をきっかけに、
全国から導入された高度な技術を応用して、
江戸時代に定着した漆器作りの一分野として雛具作りが発達した地域です。

【駿河雛具/するがひなぐ】の名称で、国から伝統的工芸品の指定もうけており、
種類はモチロン、蒔絵(まきえ)や塗りの技術、それに遊び心は
現在、圧倒的な流通量を誇る「中国製」とは比べ物にはなりません。

付属品までこだわる方なら絶対に【静岡産】がおススメです。

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