内飾り?外飾り?

本年度の五月人形商戦も折り返し地点にさしかかりました。

本日は大安。お届けにあがる配送業務がピークを迎えております。
ご家庭に品物が届き、今日から鎧や兜の五月人形を飾りつける方、
鯉のぼりをあげ始める方も多いことだと思いますがいかがでしょう?

お客さまの中では、内外両方飾る方、どちらか一方を飾る方など
様々ですが今回はそれぞれその意味の違いについて。


端午の節句は、桃の節句のひなまつりとは異なり、
屋内に飾る【内飾り(うちかざり…兜、鎧、武者人形)】
屋外に飾る【外飾り(そとかざり…鯉幟、武者幟)】が存在します。
どちらも「縁起モノ」といっしょくたにまとめられて語られますが
実はそれぞれ出どころも意味も違うモノなのです。


■ 内飾りについて

内飾りの鎧や兜を飾る風習は鎌倉時代に武士階級から広まりました。
内飾り

端午の節句の起源をたどると奈良時代までさかのぼりますが、
武家社会に移る鎌倉時代から、武士を尊ぶ節句へと変化していきます。

武士の間で鎧兜の甲冑は、戦で使う道具という以上に、
「自分の身を守る大切な宝物」として飾る風習が生まれ、
時代の変化とともに「災難から身を守り健やかに育つように…」
という厄除けと健康を祈願する飾りとして今日に至ります。


■ 外飾りについて

一方、外飾り(鯉のぼり・武者のぼり)の風習は
江戸時代に町民階級から広まりました。
外飾り

武者のぼりの起源は鎌倉時代に見られる武士の「旗さしもの」と
いわれています。武士階級では家紋やトレードマークを入れた
旗さしものを端午の節句の頃に虫干しを兼ねて庭先に飾る風習が
あったそうなのですが、町民階級には屋外に家紋を入れた旗を
掲げる行為は許されていませんでした。

この飾りを真似て、町民階級が江戸時代に祝の喜びと遊び心とを
取り入れ生まれたのが鯉のぼりや武者のぼりです。

鯉のぼりの元ネタとなったのは中国の故事。
中国の黄河上流に激流が連なった「竜門の滝」と呼ばれる難所があり、
そこを登り切った鯉は竜に変身する…という故事です。
登竜門という言葉はここから生まれました。

鯉のぼりはこの登竜門伝説にあやかり「男児が様々な困難に打ち勝ち、
立身出世できますように…」という大成を願う飾りとされます。

また武者絵のぼりは、武家の家紋やマークだけの旗とは異なり、
鍾馗、金太郎などの縁起物が華やかに描かれ、祝としての
節句を演出する雰囲気をいっそう引き立てる飾りです。
また「願いが天にのぼり通じるように」と細長い幟旗に描き、
神への目印となる依代(よりしろ)の役割をもたせた
心願成就のための飾り
とされるようです。

今日、外飾りは「後継ぎとして男の子が生まれましたよ」
という地域社会へのお披露目の役割があるとも言われています。


それぞれが端午の節句に関わる縁起モノとまとめられてはいるものの、
若干意味合いが違うからそれぞれが今なお独立して存在している…
というのが日本文化の面白さ。難しく考える必要は全くないのですが
正しいルーツを知ることで「へ~なるほど~」と思っていただけたら幸いです。

この投稿をシェアする


コメントを残す