新盆に不可欠ともされる蓮華飾りには、一体どのような意味が込められているのでしょうか。
その意味や色の違いなど、市原市周辺に伝わる風習とともに、今の暮らしの中で受け継いでいくための考え方についてご紹介します。
お盆に蓮華を飾る意味
新盆の盆棚の両側に飾られる、蓮華飾り。
銀色や赤色の花が盆棚を華やかに彩りますが、 蓮華は、単に見栄えを整えるためだけの飾りではありません。
蓮の花は泥の中に根を張りながらも、その泥に染まらず、清らかな花を咲かせます。 その姿から、仏教では古くから、悟りや清らかさを象徴する花として尊ばれてきました。 仏さまが蓮華の上に座る姿や、極楽浄土に蓮の花が咲く情景が表されるのも、 こうした意味によるものです。
お盆に蓮華を飾ることにも、故人を迎える場所を日常とは異なる清らかな場として整える意味が込められていると考えられます。
盆棚に飾るものには、それぞれに役割があります。 蓮華もまた、盆棚の空間を形づくり、故人を迎える場であることを表す飾りのひとつです。
色別に役割があります
市原市および近郊の新盆飾りでは、一般的に銀色や赤色の蓮華が用いられてきました。この地域では、誰が用意するのか、故人とどのような関係にあるのかによって、蓮華の色を使い分けることがあります。
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銀色の蓮華
主に施主側が用意するもの -
赤色の蓮華
主に子どもなど、故人に近い親族から贈られるもの -
金色の蓮華
赤色と同じく、故人に近い親族から贈られるもの
ただし、こうした色分けは、全国で統一された決まりではありません。同じ千葉県内でも地域によって異なり、家ごとの慣習や、親族の考え方によって用意の仕方が変わることもあります。
たとえば金色の蓮華。市原市周辺では、銀色や赤色に比べると見かける機会は多くありません。一方、木更津方面では、金色の蓮華が用いられることも比較的多く、同じ千葉県内でも地域によって色の選ばれ方に違いが見られます。
白い蓮華は新盆に飾るの?
蓮華飾りには、花も葉も白一色で仕立てられたものがあります。
この白い蓮華は、主に葬儀の場で用いられています。
白い蓮華と、銀色や赤色の蓮華。 それぞれが使われる場面の違いには、 葬儀と新盆という、故人を送る時期と あらためて迎える時期の違いが表れているとも考えられます。
葬儀の色と、新盆の色
突然の別れを受け止めきれないまま、 葬儀を迎えることも少なくありません。 十分な準備ができないまま、 深い悲しみの中で故人を送ることもあります。
白を基調とした飾りには、 突然の出来事であるがゆえに、準備が十分に整わない様を表していたり、 余計な色を加えず、慎みをもって故人を送るという意味が重ねられてきたのかもしれません。 蓮華に限らず、四十九日までの祭壇や経机、その周囲に用いられる道具類も同様に、 白や白木を基調に整えられることが多くあります。
一方、新盆は一般に、四十九日の忌明けを過ぎてから迎えます。
故人を亡くした悲しみが消えるわけではありませんが、 葬儀から一定の時間を経た区切りとして、 家族や親族が故人を迎えるための品を用意して盆棚を整えます。
白一色ではなく、銀や赤などを用いることには、 「今度は準備に時間をかけ、彩りを添えてお迎えします」 という気持ちを表す意味もあったのではないでしょうか。
これは文献などによって一律に定められた説明ではありませんが、 色の使い分けを考えるうえでは、自然な捉え方のひとつだと思います。
飾ることには理由があります
白が間違いで、色のある蓮華が正しい、という単純な話ではありません。
白には白が使われてきた場面があり、銀や赤には、それぞれが用いられてきた場面があります。大切なのは、形だけを整えることではなく、
なぜ蓮華を飾るのか。
なぜこの色を選ぶのか。
誰がどのような気持ちで用意するのか。
その背景を知ったうえで、ご家族に合った形を選ぶことだと思います。
近年は、住宅事情や家族の形の変化に合わせて、新盆飾りを以前より小さく簡潔に整えたいというご相談も増えています。
しかし、飾りを小さくすることと、意味までなくしてしまうことは同じではありません。
それぞれの飾りが担ってきた役割を知ることで、 何を残し、何を今の暮らしに合わせるのかが考えやすくなります。
白い蓮華をお持ちの場合
葬儀で使用した白い蓮華をお持ちで、 「そのまま新盆にも使いたい」というご相談をいただくことがあります。
「まだ綺麗だから使いたい」「新しく用意する必要があるのか分からない」など、その理由はさまざまです。
地域の慣習に合わせるのであれば、新盆用として銀色の蓮華をあらためて用意することをおすすめします。
ただし、お持ちの白い蓮華を必ず処分しなければならないということではありません。判断に迷われる場合は、ご家族の考え方を確認しながら地域の事情に詳しいご親族や菩提寺へ相談されると安心です。
お盆の飾りには、地域ごとに受け継がれてきた形があります。 それは、ただ昔の決まりを守るためではなく、目には見えない故人への思いを、 色や形によって表すための知恵でもありました。
なぜ蓮華を飾るのか。
なぜその色が選ばれてきたのか。
その意味を知ることは、故人を迎えるための飾りを、あらためて見つめ直すことなのかもしれません。
今の暮らしの中で、何を残し、どのような形で受け継いでいくのか。
新盆を迎えるその時間もまた、故人を想う、大切なひとときなのではないでしょうか。
❏ 地域の風習について
本記事は、千葉県市原市を中心に、袖ケ浦市・木更津市など近隣地域の風習をもとにご紹介しております。
お盆の飾り方やお供えの内容は、地域やご家庭によって異なる場合があります。
鯉徳では、それぞれの地域やご家庭に合わせたご案内をしておりますので、新盆の準備で迷われた際はお気軽にご相談ください。
お盆の飾りを、ひとつずつ読み解く
盆棚に飾るものには、それぞれ受け継がれてきた形があります。
なぜ飾るのか。その意味や背景を、ひとつずつご紹介します。