新盆に用意する盆棚には、供物や精霊馬、提灯などとともに、色とりどりの花を飾ります。
仏壇やお墓に花を供えることは身近な習慣ですが、なぜ私たちは故人やご先祖さまに花を手向けるのでしょうか。
今回は、盆棚に飾る生花や造花、そしてお盆と深い関わりを持つ「みそはぎ」についてご紹介します。
お盆に花を供える意味
お盆に限らず、仏壇やお墓には花を供えます。
仏教では花は大切な供物の一つとされ、仏前に花を供える「供花(くげ・きょうか)」という習慣が古くから続いてきました。美しく咲いた花を仏さまや故人に供えることは、敬いや感謝の気持ちを表す行為でもあります。
また、花は美しく咲きながら、やがて枯れていくものです。その姿を、人の命やこの世の無常と重ねて捉える考え方もあります。
盆棚に飾られる一つひとつの花に、特別な意味が決められているわけではありません。 「この花でなければならない」と考えるよりも、帰ってくる方のために花を供え、盆棚を美しく整えることそのものに意味があると考えた方が自然でしょう。
盆棚を彩る生花
盆棚には、菊やゆりをはじめ、その時季に手に入りやすいさまざまな生花が飾られてきました。
白や黄色だけでなく、赤や紫などを取り入れた盛花を飾ると、盆棚の印象も大きく変わります。
仏事というと白を基調とした飾りを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、お盆に手向ける花は白一色にする必要があるわけではありません。
提灯や供物などの他に花が加わることで、供養の場でありながらも、ご先祖さまを迎えるための彩りある設えとなっていきます。
造花を飾ってもいい?
近年のお盆には悩ましい問題もあります。
昨今の、夏の暑さです…
お盆を迎える7月・8月は気温が高く、生花はどうしても傷みやすくなります。数日間飾る盆棚では、水を替えたり、傷んだ花を取り除いたりする手間も必要になります。
特に近年は厳しい暑さが続き、生花をきれいな状態で保つことが難しい年も少なくありません。
そのため現在では、生花だけでなく、盆棚用につくられた造花を取り入れる方法もあります。
造花であれば水替えの必要がなく、暑さによって枯れることもありません。お盆の期間を通して、盆棚をきれいな状態に保ちやすいという利点があります。
生花と造花。どちらかが正しいということではなく、飾る意味を大切にしながら、ご家庭の事情や飾る環境に合わせて選ぶのも一つの方法です。
鯉徳では、盆棚の大きさや飾り方に合わせて選べる、さまざまな供花をご用意しています。
お盆と深い関わりを持つ「みそはぎ」
お盆に飾られる花の中には、少し特別な意味を持つものもあります。
それが、夏に赤紫色の小さな花を咲かせる「みそはぎ」です。
みそはぎは、『盆花(ぼんばな)』『精霊花(しょうりょうばな)』とも呼ばれ、古くからお盆の習俗と深く関わってきました。
漢字では『禊萩』と書き、その名は、禊(みそぎ)の際にこの花を用いたことに由来するともいわれています。
みそはぎには、一部の地域で「ご先祖さまの喉を潤すための花」という言い伝えもあります。
地域によっては、みそはぎを水に浸し、その水を供物などに振りかける風習があります。
こうした風習は水を供える習俗とも結びつき、帰ってきたご先祖さまの喉の渇きを潤すものとも考えられてきました。
花を手向けるということ
誰かを想うときに花を贈る。大切な場所に花を飾る。亡くなった方に花を手向ける。
時代や場面が違っても、花によって気持ちを表すという行為は、私たちの暮らしの中に広く残っています。
お盆の花も、単に見た目を華やかにするためだけのものではありません。
帰ってくる方を想い、そのために花を選び、美しく飾る。
その行為そのものが、供養の一つの形なのではないでしょうか。
❏ 地域の風習について
本記事は、千葉県市原市を中心に、袖ケ浦市・木更津市など近隣地域の風習をもとにご紹介しております。
お盆の飾り方やお供えの内容は、地域やご家庭によって異なる場合があります。
鯉徳では、それぞれの地域やご家庭に合わせたご案内をしておりますので、新盆の準備で迷われた際はお気軽にご相談ください。
お盆の飾りを、ひとつずつ読み解く
盆棚に飾るものには、それぞれ受け継がれてきた形があります。
なぜ飾るのか。その意味や背景を、ひとつずつご紹介します。
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