雛人形 / 柿沼東光 / 淑景雛(しげいびな)
伝統的工芸品の確かな風格
柿沼東光作 淑景雛
古来より伝わる技法と天然由来の厳選した素材でつくられる経済産業大臣指定 伝統的工芸品。機械化や後継者不足に伴い、近年この称号が与えられる手工芸品は少なくなってはいるものの、一流の職人たちは日々技を磨き、美しき伝統技術と歴史を継承した作品を作り上げています。
手間を惜しまずその技術力までもが確かに感じられるたたずまい。名匠 柿沼東光から生まれた伝統的工芸品 淑景雛(しげいびな)のご紹介です(限定生産)。
名匠がみせる技と美
洗練された色彩と技術がつまった造形美。地文様が浮かび上がるよう凹凸に織られた特殊な生地の材質は正絹。艶やかな光沢と深みのある色彩は正絹ならではの美しさです。
通常、"くせのある凹凸生地"や"全面刺繍の厚みがある生地"は、なかなか木目込人形には使えません。生地をボディの細い溝に入れ込む(木目込む)作業が非常に困難だからです。また、ボディに曲線部分が多い場合は厚い生地が本体にうまくのりきらず浮いてしまうため、さらにその作業は困難となります。
しかしここが職人技の見せどころ。凹凸生地を細かな箇所にいたるまで丁寧に木目込み、さらには曲線部分を多用したボディを使用しています。※ボディは桐のおがくずと糊を混ぜた"桐塑(とうそ)"と呼ばれる天然素材です。樹脂等の石油製品ではございません。
姿勢が変われば左右の形も変わるように、風が吹けば衣装もなびくように…一流の職人はそんな些細な動きまでをも表現するために技を磨き、曲線部分の多い左右非対称のボディにこだわって制作しているのです。
曲線が連続する複雑なボディにくせのある生地を着せ付ける技術とセンス。これこそが人形師 柿沼東光の真骨頂といえるでしょう。
お顔だち
ふくよかにして切れ長の目。その全てが手描きで表現されています。何本もの筆を器用に使い分け描かれる面相は、熟練した職人の技の見せ所。緻密な手仕事が工芸品としての価値や品格をさらに高めてくれています。
主張しすぎず主張して、主役をより美しく
人形をより美しく際立たせるために存在する周辺のお道具類。なかでも屏風や飾台は、全体のイメージを左右するほど重要な役割を担っています。
「主役の存在感を損なわずして、より魅力的な空間を演出するためのものづくりを」
そんなテーマと向き合いながら、職人は日々絵柄の構図や配色、そして質感に至るまで試行錯誤を繰り返し、卓越した技術をもって美しい製品をつくり続けています。
派手さを抑えた落ち着きある空間が、主役であるお人形を際立たせます。シンプルながらそのこだわりは人形に引けを取りません。
落ち着いた風合いが魅力的な"絹しけ屏風"。絹しけとは国産絹糸100%の織物に和紙を裏打加工したもので、不規則な織段や紬が独特の風合いを醸しだし空間を演出します。
使用される絹糸は、蚕の糸を数十本合わせてつくられるために不規則な太さとなり、傷などの不良品と誤解される場合がありますが、この不揃いこそが絹しけの良さであり、100%の絹織物という証明でもあります。
また屏風の開閉部分には金具の丁番を一切使わず、和紙でできた"羽根"とよばれる和紙丁番を使用する、いわば職人の伝統技術でつくる制作工程(本仕立)にこだわりました。
開閉部に切込が入っていて、両面に開く仕組みが特徴です。継ぎ目に隙間ができないので、見た目にもすっきりとした印象となります。職人の街、墨田区にある老舗屏風工房の片岡氏が生みだす技ありの工芸品です。
編み込んだ木の質感が美しい"網代(あじろ)細工を表面にほどこした飾り台。手仕事の温もりがより一層感じられる手間暇かけた装飾です。
極力シンプルにお道具類は燭台のみ。和紙と木で作られています。
伝統を誇る手づくりの証として証紙が付けられた作札。


職人の技とセンスと心意気が生んだ淑景雛。何年たってもその輝きを失わない、普遍的な美しさが漂う親王飾りでひなまつりをより華やかに…。
商品詳細
作者・工房 | 柿沼東光 |
生産地 | 埼玉 |
サイズ | 間口63 × 奥行42 × 高さ54 cm |
本体仕様 | 正絹 |
屏風 | 本仕立絹しけ屏風 |
飾台 | 木製網代細工台 |
道具 | ― |
花類 | ― |
雪洞 | 木製燭台 ※灯りはつきません |
サービス品 | ■お手入れセット(毛バタキ・手袋・クロス) ■被布着 ■作者立札 |
注意事項 | ■手作りのためサイズや形状、色合いが各々多少異なります。 ■ご使用のモニターにより、実際の色と異なって見える場合がございます。 |
作者・工房について