雛人形 / 柿沼東光 / 淑景雛(しげいびな)


完売必至。今年の入荷も"ごくわずか"です。
消費者の趣味嗜好が多様化し、年々早まる流行り廃りのサイクル。
そんな時代にありながら、当店では十年以上の大ベストセラーを誇るものもいくつか存在します。
そのひとつが衣裳着雛人形にも引けを取らない、存在感のあるこちらの木目込人形。
毎年数体しか作られない価値あるお人形で、職人の手仕事により丁寧に生み出されています。
人形師のなかでも、その表現力と技術力はトップクラス。
経済産業大臣指定伝統工芸士 柿沼東光による"淑景雛"のご紹介です。






目の覚めるような、鮮やかな赤。
男雛・女雛ともに、光沢がひときわ美しく、艶やかな正絹の衣装を採用。
特種な織り方で凹凸があり、地文様が浮かび上がる立体的な衣装でもあります。
これぞ職人がみせる、ジャパンクオリティ。
凹凸のある生地を木目込む技術力。これは東光作品の特徴のひとつです。
全体に刺繍がほどこされていたり、織り方にくせのある立体的な生地を使い
木目込人形を作る職人は東光以外、ほとんど見かけることはありません。
また、人形の後ろ姿にご注目を。裾がひるがえるような躍動感を表現するために
曲線部分の多い、左右非対称のボディを使用するのも東光作品の特徴です。
実際に木目込人形を作った経験がある方ならおわかりだと思いますが、
カーブしている部分が多いと、生地がうまく本体にのらずに浮きやすいため、
曲線部分が多いボディは、生地を木目込ませていくのが非常に困難なのです。
難しい曲線が連続するボディに、くせのある生地を着せ付ける技術とセンス。
これぞまさしく職人 柿沼東光の真骨頂といえるでしょう。


"書き目(手書きによる目)"の表情が美しい、高貴な大人顔です。ふっくらとした気品ある顔立ちも特徴です。
笑みをたたえているような穏やかな表情は、見る人の心を優しく和ませる雰囲気に仕上がっています。
"主張しすぎず主張して、主役をより美しく"
人形の美しさをより際立たせるために存在する周辺のお道具類。
なかでも屏風は、全体のイメージを左右するほど重要な役割を担っています。
主役の存在感を損なわずして、より魅力的な空間を演出をするためのモノづくりを。
そんなテーマと向き合いながら、職人は日々、絵柄の構図や配色、そして質感に至るまで
試行錯誤を繰り返し、卓越した技術をもって美しい製品をつくり続けています。

金屏風はひな人形でも五月人形でも定番中の定番商品。シンプルさゆえに、作りの甘い人形は粗が目立つように見え、
逆に丁寧につくられた人形はその美しさがより際立つという魔法のような屏風でもあります。
そして金屏風に使う金色部分の種類もさまざま。その種類において最高ランクに位置するものが"金沢箔押"です。
和紙に金沢箔を一枚一枚丁寧に箔押しして作られた金沢箔押屏風は、深みのある優美な輝きを放ちます。
また屏風の開閉部分には金具の蝶番を一切使わず、和紙でできた"羽根"とよばれる和紙蝶番を使用する、
いわば職人の伝統技術でつくる制作工程(本仕立)にこだわりました。

開閉部に切込が入っていて、両面に開く仕組みが特徴です。
継ぎ目に隙間ができないので、見た目にもすっきりとした印象となります。
職人の街、墨田区にある老舗屏風工房の片岡さんが生みだす技ありの工芸品です。
極力シンプルにと、お道具類は木製の燭台のみ。燭台に灯りはつきません。

そして飾り台には"網代(あじろ)細工を取り入れました。
手仕事の温もりがより一層感じられる、手間暇かけた飾り台です。

作札に貼られた証紙にご注目。伝統を誇る手づくりの証として、この証紙が付けられています。

職人の技とセンスと心意気が生んだ淑景雛。何年たってもその輝きを失わない、普遍的な美しさが漂う親王飾りです。
商品詳細
作者・工房 |
柿沼東光 |
生産地 |
埼玉県 |
サイズ |
間口63 × 奥行42 × 高さ52 cm |
本体仕様 |
正絹 |
屏風 |
本仕立金沢箔押屏風 |
飾台 |
木製網代細工台 |
道具 |
― |
花類 |
― |
雪洞 |
木製燭台 ※灯りはつきません |
サービス品 |
■お手入れセット(毛バタキ・手袋・クロス) |
注意事項 |
■手作りのためサイズや形状、色合いが各々多少異なります。 |
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柿沼東光 ■経済産業大臣指定伝統工芸士 ■東京都指定伝統工芸士昭和23年 東京都生まれ。本名"柿沼正志"。昭和49年、初代東光に師事し人形製作に専念。華麗なる色彩、気品あふれる親王飾をはじめとして日本情緒を映す優美な人形を次々に発表。独自の技法を開拓し、品質向上及び伝統的技術の改善向上に貢献している。 |