民藝の現在地

島根にまで来て考えてみた #2

先週、ギフト・ショー帰りにふらっと立ち寄った
日本橋高島屋の民藝展。

日本各地の器や工芸品を眺めているうちに、
実際につくられている場所へと
なんだか無性に行ってみたくなりまして…。

島根までやってきた真の目的は、そう、

窯元巡りです。

出西窯 登窯

出西窯、湯町窯、袖師窯。
島根を代表する三つの窯元を巡ってきました。

あれかわいい、それかわいいと
はじめは妻とあれこれ見ていたのですが、
気づけば私は写真撮りに夢中になり…

出西窯

まず訪れたのは、出雲市斐川町にある出西窯。

戦後間もない1947年、
5人の若者によって始められた窯元です。

柳宗悦や河井寬次郎、濱田庄司らの指導を受けながら、
日々の暮らしで使う器をつくり続けてきました。

なかでもよく知られているのが、
深い青色の「出西ブルー」。

出西窯 ギャラリー内

ただ、実際に訪れて印象に残ったのは、
器だけではありませんでした。

窯元の敷地内には、ギャラリーやベーカリーカフェ、
衣料品などを扱う店まであります。

器だけを売るのではなく、その器が置かれる
「暮らし」まで含めて提案しているような場所です。

湯町窯

続いて訪れたのは、玉造温泉近くの湯町窯。

1922年創業。
こちらも島根の民藝を代表する窯元のひとつです。

店内を見渡して驚くのが、その種類の多さ。

皿や鉢はもちろん、マグカップ、カップ&ソーサーなど、
普段の食卓で使いたくなる器がずらりと並んでいます。

湯町窯 ギャラリー内

ぽってりとした厚みや、独特な釉薬の表情。
ひと目でそれと分かる個性がありながら、
つくられているのは、日々使うための器です。

その個性を失うことなく、
使われる場面を広げていることが、
現代との接点になっているようにも感じました。

袖師窯

そして松江市の袖師窯。

1877年開窯。
三窯の中ではもっとも長い歴史を持つ窯元です。

昔から続く器をつくる一方で、
店内には従来の印象とは異なる
柄や意匠の器も並んでいました。

袖師窯 ギャラリー内

さらに興味深かったのが、郷土玩具。

袖師窯 郷土玩具

途絶えつつある土地の玩具に目を向け、
器とはまた違うかたちでも、
地域のものづくりをつないでいます。

民藝とは

出西窯、湯町窯、袖師窯。

つくられている器も、窯元の雰囲気も、
それぞれかなり違います。

それでも、この三つはいずれも
民藝思想とともに歩んできた窯元です。

出西窯 素焼きの器

1920年代に始まった民藝という概念。
思想家の柳宗悦らが目を向けたのは、
名もなき職人たちがつくる日用品でした。

眺めるためにつくられたものではなく、
毎日の暮らしの中で使われるもの。

そして使うことの中から見出される美しさ。
「用の美」という考え方が生まれました。

民藝の現在地

民藝の器というと、昔から変わらないものを
守り続けているような印象もあります。

しかし三つの窯元を実際に巡ってみると、
どうもそれだけではなさそうです。

出西窯は、器から暮らし全体へ。
湯町窯は、今の生活に合わせた多彩な器へ。
袖師窯は、新しい意匠や郷土玩具へ。

昔ながらの方法だけにこだわるのではなく、
用途に応じて新しい焼成方法も取り入れています。

昔ながらの器であっても、
使われる場所は、今の暮らしの中にあるのです。


…器をじっくり見るつもりでしたが、
どの窯でも写真を撮るには飽き足らず、
職人さんと民藝談義に発展中。

その頃、妻は…

器の爆買い!

用の美を知らぬまま
食器棚に眠らぬことを切に願う…。


#3へつづく ▶▶▶