ひな人形|小倉草園
秋田で受け継がれる実直な人形づくり。
雛人形工房 草園
東北唯一の雛人形メーカーとして、秋田に工房を構える草園。かつて「小倉草園」の名で親しまれてきた人形づくり。その技術と職人たちは、現在の「草園」へと受け継がれています。
草園が大切にしているのは、雛人形の基本となる素材と仕立て。すべての雛人形に桐塑胴を用い、衣装の内側から形を整え、自然な姿に着せ付けていきます。
また、秋田県角館の町並みに着想を得た「京雛小京都シリーズ」では、落ち着いた日本の伝統色を生かした独自の美意識も表現しています。
特別な装飾だけに頼らず、見えない部分から丁寧につくる。草園の雛人形には、そんな実直な仕事が息づいています。
3つの特徴
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作家紹介
秋田市に工房を構える草園。昭和50年頃からこの地で雛人形づくりに取り組み、衣裳着雛人形を中心に、木目込人形や能人形など、さまざまな人形制作で技術を培ってきました。
かつては「小倉草園」の名で知られていましたが、現在は「草園」の名称で制作を続けています。職人や製作体制は従来の工房へと変わらぬ作風で引き継がれています。
すべての雛人形に桐塑胴を使用し、衣装の着せ付けまで自社工房で行う、東北唯一の雛人形工房です。
01 桐塑胴|見えないところから形を整える
雛人形の衣装の内側には、その姿を支える胴体があります。草園では、すべての雛人形に「桐塑(とうそ)」を使用しています。
桐塑とは、桐のおがくずに糊を混ぜてつくる素材。型に詰め、乾燥させて固めた後、職人が一体ずつ手で削りながら形を整えていきます。
▲ 桐のおがくずと糊を用いてつくられる桐塑胴。
▲ 衣装を着せる前に、胴体の形を整える工程。
胴体にわずかな傾きがあれば、衣装を着せた後の姿にも影響します。肩の高さや全体のバランスを確かめながら、形を整える。完成すると見えなくなる工程ですが、人形の佇まいを左右する大切な仕事です。
比較的手に取りやすい価格帯の雛人形には、発泡ウレタンなどの合成樹脂を胴体に用いるものもあります。それに対して草園が選んでいるのは、桐のおがくずと糊からつくられる桐塑。見えない部分にも、天然由来の素材を用いる昔ながらの製法を守っています。
素材の違いは、完成した姿からは分かりにくいもの。だからこそ、鯉徳ではこうした部分にも目を向けていただきたいと考えています。
02 着せ付け|衣装の膨らみと、自然な姿
桐塑胴の形を整えた後は、衣装を着せ付けていきます。
草園では、表布を和紙に袋張りする技法などを用い、衣装に柔らかな膨らみを持たせています。平面的な布を、人形の姿に合わせて立体的に仕立てるための工夫です。
袖の重なり、裾へと続く衣装の流れ、正面からだけでは分からない後ろ姿。それぞれを整えることで、一組の雛人形としての姿が生まれます。
華やかな装飾で目を引くというより、衣装が自然に収まり、全体の形に無理がないこと。草園の仕立てには、そうした基本を大切にする姿勢が感じられます。
03 京雛小京都|角館の風土を映した色彩
秋田県仙北市の角館。武家屋敷の町並みが残り、「みちのくの小京都」と呼ばれるこの土地は、草園の代表的なシリーズ「京雛小京都」の着想源となりました。
▲ 武家屋敷の町並みが残る、秋田県角館。
京雛小京都では、落ち着いた日本の伝統色を基調に、衣装の素材や色合わせを考えています。
鮮やかな色彩とは異なる、穏やかで奥行きのある配色。流れるような着せ付けと重なることで、華やかさの中にも落ち着きを感じさせる姿に仕上がっています。
お子さまが成長し、大人になってからも、毎年飾りたくなる雛人形。京雛小京都には、そんな美しさがあります。
東北の手仕事をつなぐ、こぎん刺し雛
秋田の雛人形づくりと、青森のこぎん刺し。同じ東北で受け継がれてきた二つの手仕事を、一組の雛人形に重ねたい。そんな思いから、鯉徳オリジナルのこぎん刺し雛は生まれました。
衣装に用いるこぎん刺しは、青森県弘前市の弘前こぎん研究所によるもの。麻の生地に一針ずつ刺された模様を、草園の職人が雛人形の衣装として仕立てています。
伝統的な技術を守るだけでなく、異なる手仕事を組み合わせることで、新しい雛人形の姿を生み出す。草園とのものづくりには、そんな広がりもあります。
鯉徳から見える、草園
草園の雛人形を評価する理由のひとつが、価格と仕立てのバランスです。
この価格帯でありながら、胴体には桐塑を使い、衣装の着せ付けにも手をかける。完成すると見えなくなる部分にも、昔ながらの製法を守る仕事があります。
華やかな装飾や特別な技法を前面に出すのではなく、人形づくりの基本を丁寧に積み重ねる。その仕立ての確かさこそ、鯉徳が草園を選び続ける理由です。