ひな人形選びに正解はありません。
お顔が好き。
衣裳が好き。
お部屋に似合う。
どれも素敵な選び方です。
ただ、お人形を見比べていると、こんな疑問を持たれる方もいます。
「結局、何が違うの?」
今回は、人形選びの一つの手掛かりとなる「作札」についてご紹介します。
・作札に書かれている名前の意味
・ひな人形が分業で作られている理由
・人形師と呼ばれる職人の役割
・販売店名と制作者名の違い
・鯉徳が作り手の見える人形を大切にする理由
人形制作者の表記について
店頭のひな人形を見ると、さまざまな作札が添えられています。
作家名が書かれていたり、工房名が書かれていたり。
あるいは、 「人形の○○」 という表記も見かけるかもしれません。
しかし、その違いについては意外と知られていません。
ひな人形は一人で作られていない
まず知っていただきたいのは、ひな人形は一人で作られているわけではないということです。
お顔を作る人。
衣裳の生地を作る(織る)人。
刺繍を施す人。
縫製をする人。
そして着付けをする人。
多くの職人の技術が重なり、一体のお人形が完成します。
実は皆さまが目にしているひな人形の多くは、このような分業によって作られています。
作札に書かれている名前とは?
作札に表記されることが多いのは、「着付け師」と呼ばれる職人の名前です。
人形業界では、この着付け師を指して「人形師」と呼ぶことも少なくありません。
着付けとは、単に衣裳を着せる作業ではありません。
袖の見せ方。
十二単の重ね方。
裾の流れ方。
衣裳の広がり方。
同じ衣裳を使っていても、着付けによって人形の印象は大きく変わります。
以前ご紹介した「後ろ姿の美しいひな人形」も、実はこうした着付けの技術によるところが少なくありません。
作札に書かれている名前は、お顔を作った職人の名前とは限りません。
人形業界では、着付けを担当した職人の名前が表記されることが多くあります。
「人形の○○」と書かれた札について
店頭では、 「人形の○○」 と書かれた作札を見かけることがあります。
実はこの表記は、お店や販売元の名前であることが少なくありません。
つまり、その札だけでは実際に誰が制作したお人形なのか分からない場合があります。
もちろん、それ自体が良い悪いという話ではありません。
ただ、
「どこのお店が販売しているのか」
と
「誰が制作したのか」
は、似ているようで別の情報です。
私たちは後者も大切な情報だと考えています。
だから鯉徳は作り手を表記する
現在、日本全国には数多くの人形工房や人形師が存在します。
さらに各小売店が独自の別注品やオリジナル商品を企画しているため、市場には非常に多くのひな人形があります。
その数は、業界にいる私たちでも把握できないほどです。
だからこそ私たちは、人形選びの一つの手掛かりとして「誰が作ったのか」を大切にしています。
農産物に生産者の名前が表示されるように、作り手が見えることには意味があると思うのです。
名前が分かれば、どんな職人が手掛けたのかを知ることができます。
そして職人にとっても、自らの名前で作品を世に送り出すことは誇りであり責任でもあります。
☑ 作札には何と書かれているか
☑ その名前は販売店名か、工房名か、作家名か
☑ 誰が制作したお人形なのか分かるか
☑ 着付けや衣裳の仕上がりが美しいか
☑ お店がその人形の背景まで説明できるか
最後に
もちろん、作家名だけで良し悪しが決まるわけではありません。
お顔が好き。
衣裳が好き。
飾った時の雰囲気が好き。
それもまた大切な選ぶ理由です。
ただ、もし人形選びに迷った時は、ぜひ作札にも目を向けてみてください。
その一枚の札の向こうには、長い年月をかけて技を磨いてきた職人たちの仕事があります。
私たちは、そんな作り手の見える人形を大切にしています。