人形店にはそれぞれのお店にそれぞれの考え方があります。
同じ雛人形を扱っていても、何に価値を感じるかは意外なほど違うものです。
もちろん私たち鯉徳にも、人形選びにおいて大切にしていることがあります。
それは、見えない部分まで丁寧に作られていることです。
ひな人形の後ろ姿
雛人形は正面から飾り、正面から眺めるもの。
だから極端な話、後ろ姿は見えなくても困りません。
それでも職人たちは、後ろに流れる十二単の重なりや色彩にまで手間をかけます。
私たちは、その手間の中に作り手の美意識が表れると考えています。
まずはこちら。 一般的な雛人形の後ろ姿です。
もちろん十分に美しく仕立てられています。
ただ、私たちが特に惹かれるのは、十二単が長く流れ、重ねの色彩まで楽しめるお人形たちです。
前から見た時の華やかさだけでなく、後ろ姿にも品格が感じられる。 そんなお人形を数多く取り揃えています。
本州最北端の人形工房、小倉草園が手掛ける「小京都シリーズ」。
流れるような裳裾と、幾重にも重なる色彩が印象的です。
伝統的工芸品・江戸衣装着人形の制作者、眼楽亭富久月。
後ろから眺めても十二単の重なりが美しく、豊かな表情があります。
伝統的工芸品・駿河雛人形制作者、望月龍翠。
色の重なりと裾の広がりが美しく、凛とした佇まいを感じさせます。
そして重ねの美しさで高い評価を受ける清水久遊。
幾重にも重なる衣裳の色彩は、まさに十二単ならではの魅力です。
もちろん、雛人形の魅力は後ろ姿だけではありません。
お顔の表情、衣裳の色合わせ、道具との調和など、見るべきポイントはたくさんあります。
ただ私たちは、正面からは見えない部分にまで心を配ったお人形に、職人の誠実な仕事を見ることがあります。
もし人形選びで迷われたら、ぜひお姫様の後ろ姿もご覧になってみてください。
そこには、写真だけでは伝わらない魅力が隠れているかもしれません。