雛人形 / 望月龍翠 / 正絹 帯地
流行に左右されない
ひな人形のクラシックスタイル
上品な輝きを放つ本仕立ての"金屏風"。艷やかに深い "漆黒の飾り台"。空間をはんなりと照らす丸いかたちの"木製雪洞(ぼんぼり)"。京都御所の様式を受け継ぐ"紅白梅"。そして、ひな人形が身にまとう衣裳は、絵を描くように模様を織り出された錦織の高級帯地…。
丁寧に整えられたひとつひとつの調度が、時代を超えて受け継がれてきた定番にして普遍的な存在。その完成された美しさは堂々とした風格を放ち、まさに神聖なお守りとしての存在感を豊かに示しています。
人形制作担当は、業界屈指の技巧派として名高い経済産業大臣指定伝統工芸士の望月龍翠。確かな技が、この様式美をより一層際立たせます。
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職人技がひかる、これぞジャパンクオリティ







美しいひな人形の条件ともいえる左右対称の造形美を意識し、かっちりと丁寧に衣装を着せ付ける望月龍翠の技術力は業界屈指。
丁寧な着付けだけにとどまらず、男雛は肩・腕・袖口を直線的なシルエットにし、スマートかつ男性的な力強さを表現。女雛はなで肩で、袖口はほどよく丸みを持たせたシルエットにし、繊細かつしなやかな女性らしさを表現しています。
また女雛の後ろ姿は、重なる衣装の一枚一枚の色彩が美しく見えるような着付けにこだわり、写実的な十二単の美しさを追求しています。
見えないところへの心遣い
胴体部分において他の職人と大きく異なるのは、腕の骨格となる針金の太さ。胴体に衣装を着せ付けた後、その腕を瞬時に折り曲げる工程(=腕折り/かいなおり)を経て人形の造形美は決定しますが、龍翠は太めの針金を使用しているため、触ったときの感触はもちろん、見た目にも着崩れをおこす気配のないかちっとした仕上がりを可能にしています。
▲ 指先だけでは簡単に曲がらない太さの針金。
衣装へのこだわり


男雛・女雛の衣装には、ともに金銀糸を織り込んだ錦織の帯地(※1)を用いています。複数の緯糸を切り替えながら文様を織り出す技法によって、平織りでは生まれないふくらみや陰影、豊かな質感が表現されています。また、生地全体に散りばめられた金糸・銀糸が光を受けて柔らかな層をつくり、桜文様が角度によってふわりと浮かび上がるのが特徴です。
帯地のように厚みと張りのある生地は、思い通りのシルエットを出すことが難しく、少しの歪みや厚みの偏りでも仕上がりに影響が出てしまいます。龍翠はその難素材を自在に扱える技に自信があるからこそ、高級帯地を用いた衣裳づくりにも積極的に取り組んでいます。
(※1)帯地 / おびじ
帯を仕立てるために織られた専用の織物(生地)の総称で、通常の着物地よりも厚み・張り・強度を備えているのが特徴です。金襴・錦織・唐織などの帯地は、奥行きのある光沢や文様の精緻さから見た目にも豪華で人気が高く、高級ひな人形の衣裳生地として用いられることもあります。
お顔だち




ほんのりとした微笑みが漂うお顔の制作は、人形頭師の熊倉基安によるもの。澄んだまなざしと、優しく語りかけてくるようなやわらかな口元が調和し、上質さの中にもあたたかみが感じられます。
主役をより美しく演出
人形をより美しく、そして敬意をもって飾るために欠かせないのが周辺のお道具類。なかでも屏風や飾り台は単なる背景ではなく、主役を引き立て、空間全体に調和と格式をもたらす大切な存在です。
「主役の存在感を損なわず、より魅力的な空間を演出するためのものづくりを」
この想いを胸に、職人たちは日々、絵柄の構図や配色、質感に至るまで研ぎ澄まされた技術を注ぎ込み、より美しい製品を生み出し続けています。

祝事には欠かせない定番アイテムのひとつ金屏風。シンプルデザインであるがゆえに、丁寧につくられた人形はその美しさがより際立つように見え、逆に作り込みの甘い人形は粗が目立ちやすくなるという、真実の鏡のような不思議な力が宿っています。
本品はより上品で落ち着いた雰囲気を出すために、金紙の上に絹地を敷いた"裏箔(うらはく)"という手法を取り入れ、金特有の色調をあえて和らげて制作しています。
また、開閉部分には金具を一切使わず、和紙でできた"羽根"とよばれる和紙丁番を使用する、いわば職人の伝統技術でつくる制作工程(本仕立)にこだわりました。

開閉部に切込が入っていて、両面に開く仕組みが特徴です。継ぎ目に隙間ができないので、見た目にもすっきりとした印象となります。職人の街、墨田区にある老舗屏風工房の片岡さんが生みだす技ありの工芸品です。
お道具には貝桶(かいおけ)をご用意しました。江戸時代には嫁入り道具の一つとされ、現在は雛道具の定番アイテムとなっています。立体的な梅の絵柄は、本金を用いた蒔絵(まきえ)の技法で描かれています。

天然の繭玉を丁寧に花びら型にカットして作られた紅白梅です。繭玉の自然な光沢と張りが特徴的。染め上がりも美しく、発色のよさがそのままいかされています。
花びらの毛羽立ちは正真正銘、繭玉を使っている証です。
電池式の木製LEDコードレス雪洞(ぼんぼり)。ほのかな灯りが人形を優しく包み込みます。火袋には手作業で桜を描き、灯りをつけなくともあたたかい存在感があります。また、足元の台座部分に筋彫を入れ、日本の国花である菊が格式高く表現されています。
提灯(ちょうちん)の産地として有名な岐阜県では雪洞生産も盛んで、本製品を手がける岐阜市内の工房さんは明治25年から続く老舗。脇役ながらも本物志向にこだわり、台座には北海道産のサクラ、輪と骨にはホウの木と、現在主流となっているプラスチックではなく天然の"木製品"を使用しています。湾曲している骨部は、熱の力を利用しながら丁寧に手作業で曲げるという念の入れよう。

細部に至るまで心配りが感じられるニッポンのものづくりの真髄と、伝統工芸品の普遍的な美しさが感じられるおひなさまを傍に、末永くひなまつりをお楽しみ下さいませ。
商品詳細
| 作者・工房 | 望月龍翠(頭師:熊倉基安) |
| 生産地 | 静岡 |
| サイズ | 間口75 × 奥行40 × 高さ32 cm |
| 人形 | 京十番サイズ 正絹帯地(錦織) 藁胴 木手 |
| 屏風 | 本仕立三曲裏箔屏風 |
| 飾台 | 木製黒塗平台 |
| 道具 | 木製貝桶(本金梅蒔絵) |
| 花類 | 繭玉紅白梅 |
| 雪洞 | 木製LEDコードレス雪洞(電池付) |
| 付属品 | ■お手入れセット(毛バタキ・手袋・クロス・防虫剤) ■作者立札 |
| 注意事項 | ■手作りのためサイズや形状、色合いが各々多少異なります。 ■ご使用のモニターにより、実際の色と異なって見える場合がございます。 |
作者・工房について
