五月人形 / 吉貞 / 赤鐘馗(小)
邪気を払う守護の象徴―。鐘馗
端午の節句という大切な節目の日に彩りを添える数々の五月人形。なかでも鐘馗(しょうき)は邪気を払う守護の象徴として、古来より兜や鎧とともに飾られてきました。
鐘馗とはおもに中国の民間伝承に伝わる道教系の神で、日本では厄除けや学業成就に効果があるとされることから、端午の節句にかかせない人形の代表となりました。人形のみならず旗・凧・屏風・掛け軸として飾ったり、屋根の上に鍾馗像をのせる地域もあります。"しょうき"という音が「勝機」という言葉に通じることもまた、縁起物とされる所以であるのでしょう。
戦国時代には"しょうき"という音を「勝機」という言葉に置き換えて、げんを担いだ武将も存在。代表的な人物に、鍾馗像を旗印とした本多忠勝、陣羽織に鐘馗を描き着用した前田利家などがいます。
厄よけ鐘馗の由来
昔、中国の皇帝玄宗が病気になり、夢の中で悪霊に苦しめられていると、鐘馗と名乗る大男が現われその悪霊を退治した。夢から覚めた皇帝は病気が治っていた為、直ちに画家をよび記憶を頼りに描かせたのが今日の鐘馗の姿となる。それ以降、鍾馗の絵姿には邪気を祓う効力があるとされ世の中に広まっていった。
邪気や災いを跳ね除ける存在であることから、睨みをきかせた迫力のある表情が特徴のひとつ。凄みのある表情を表現するために、血管を浮かびあがらせたこの制作技法は"おきあげ"といい、近年はほとんど用いられていない貴重な技法です。
また鐘馗は一般的に"黒髪黒髭"がトレードマークでもありますが、本品は"赤髪赤髭" 仕様。生命の根幹を成す太陽の赤は、活力や情熱を意味し、古くから"魔除けの色"として用いられるようになりました。"鳥居"やひな人形を飾る"毛せん"が赤であるのもこのためです。男児の健やかな成長を祈念する端午の節句で飾るにふさわしい色彩ともいえるでしょう。
花梨塗の木製ガラスケース(前扉開閉式)が付属。正面の両側に木枠(柱)がないパノラマケースなので、重厚感のないスッキリとした印象です。
日本古来の風情や趣をも湛える鐘馗。初節句を迎えるご家庭はもちろん、神聖性をともなう縁起物として多くの方々に飾っていただきたい伝統工芸品です。
商品詳細
作者・工房 | 吉田吉貞(よしだよしてい) |
生産地 | 栃木 |
サイズ | 幅 30 × 奥行 27 × 高さ 39 cm ※ガラスケース外寸 |
注意事項 | ■手作りのためサイズや形状、色合いが各々多少異なります。 ■ご使用のモニターにより、実際の色と異なって見える場合がございます。 |
作者・工房について