雛人形 / 柿沼東光 / 歳美雛(相良刺繍)
玄人好みの優れた手仕事
柿沼東光作 歳美雛
都市部を中心に近年脚光をあびている木目込人形。コンパクトな大きさで収納面に優れるところが人気理由のひとつです。またその小さい作りから、淡い色目を用いて"かわいらしさ"に特化した人形が多くつくられていることも特徴的です。そんななか、
「大きさはベストだけど、私たち好みの色合いとはちょっと…」
「赤ちゃんのときならいいけど、末永く飾るにはちょっと…」
というご家族がいらっしゃるのも事実。そんな皆さまのご要望に答えるべく木目込人形。 柿沼東光作"歳美雛"のご紹介です。
名匠がみせる技と美
洗練された色彩と技術がつまった造形美。生地全体に緻密な刺繍がほどこされた衣装。多色の糸で彩られた模様はまるで点描画のよう。
通常、"くせのある凹凸生地"や"全面刺繍の厚みがある生地"は、なかなか木目込人形には使えません。生地をボディの細い溝に入れ込む(木目込む)作業が非常に困難だからです。また、ボディに曲線部分が多い場合は厚い生地が本体にうまくのりきらず浮いてしまうため、さらにその作業は困難となります。
しかしここが職人技の見せどころ。凹凸生地を細かな箇所にいたるまで丁寧に木目込み、さらには曲線部分を多用したボディを使用しています。
姿勢が変われば左右の形も変わるように、風が吹けば衣装もなびくように…一流の職人はそんな些細な動きまでをも表現するために技を磨き、曲線部分の多い左右非対称のボディにこだわって制作しているのです。
曲線が連続する複雑なボディにくせのある生地を着せ付ける技術とセンス。これこそが人形師 柿沼東光の真骨頂といえるでしょう。
衣装へのこだわり
男雛、女雛ともに衣裳には世界三大刺繍のひとつ"相良刺繍(※1)"をほどこしました。
(※1)相良刺繍(さがらししゅう)
中国は漢の時代より見られ、日本には奈良時代に伝来したとされる刺繍で、汕頭刺繍、蘇州刺繍と並び三大刺繍のひとつです。糸を玉のようにして縫い込むことから別名"玉縫い"ともよばれています。結び玉を一つずつ重ねながら図案を描いていくため、技術力はもちろん制作には高い集中力と忍耐力が必要とされており、またその図案が点で描かれたように見えることから"絹の点描"とも称されています。
お顔だち
ふくよかにして切れ長の目。その全てが手描きで表現されています。何本もの筆を器用に使い分け描かれる面相は、熟練した職人の技の見せ所。緻密な手仕事が工芸品としての価値や品格をさらに高めてくれています。
主張しすぎず主張して、主役をより美しく
人形をより美しく際立たせるために存在する周辺のお道具類。なかでも屏風や飾台は、全体のイメージを左右するほど重要な役割を担っています。
「主役の存在感を損なわずして、より魅力的な空間を演出するためのものづくりを」
そんなテーマと向き合いながら、職人は日々絵柄の構図や配色、そして質感に至るまで試行錯誤を繰り返し、卓越した技術をもって美しい製品をつくり続けています。
派手さを抑えた落ち着きある空間が、主役であるお人形を際立たせます。
屏風において金屏風は永久的定番商品。シンプルさゆえに作りの甘い人形は粗が目立つように見え、逆に丁寧につくられた人形はその美しさがより際立つという魔法のような屏風でもあります。
そして屏風の形状は定番の6枚折仕立て。屏風には"空間を間仕切りする役割"がありますが、6枚折仕立屏風はその形状と役割から、
空間(部屋の中)を6つに間仕切りする
→中を6つに間仕く
→仲睦(なかむつ)まじく
という粋な言葉遊びが用いられ、縁起の良いメッセージが込められているのです。
燭台、お道具はすべて国産の木製品。燭台に灯りはつきません。紅白梅は"さりげなく良いモノを"をモットーとする大正11年創業の節句人形造花、岡半が制作。
職人の技とセンスと心意気が生んだ歳美雛。何年たってもその輝きを失わない、普遍的な美しさが漂う親王飾りでひなまつりをより華やかに…。
商品詳細
作者・工房 | 柿沼東光 |
生産地 | 埼玉 |
サイズ | 間口54 × 奥行38 × 高さ35 cm |
本体仕様 | 正絹 相良刺繍 |
屏風 | 本仕立金沢箔屏風 |
飾台 | 木製ワイン塗り台 |
道具 | 木製行器 |
花類 | 紅白梅 |
雪洞 | 木製燭台 ※灯りはつきません |
サービス品 | ■お手入れセット(毛バタキ・手袋・クロス) ■作者立札 |
注意事項 | ■手作りのためサイズや形状、色合いが各々多少異なります。 ■ご使用のモニターにより、実際の色と異なって見える場合がございます。 |
作者・工房について