雛人形 / 望月龍翠 / 有職雛 正絹(黒×赤)




ひな人形王国 静岡発の実力派人形師、
望月龍翠作 有職雛
学問の神 菅原道真(すがわらのみちざね)をモデルとする静岡発祥の人形 天神様(てんじんさま) 。その長きに渡る天神制作を起源として作られる 駿河雛人形 は、1994年に伝統的工芸品に認定されました。国内屈指の雛人形生産地になった静岡県では、伝統技能を今に伝える職人が多数存在しています。
人形師の望月龍翠さんもそのひとり。39歳の若さで経済産業大臣指定伝統工芸士に認定された実力派人形職人です。同氏の卓越した技術と美を追求した心配りが惜しげもなく詰め込まれた有職雛のご紹介です。
職人技がひかる、これぞジャパンクオリティ







美しいひな人形の条件ともいえる左右対称の造形美を意識し、かっちりと丁寧に衣装を着せ付ける望月龍翠の技術力は業界屈指。
丁寧な着付けだけにとどまらず、男雛は肩・腕・袖口を直線的なシルエットにし、スマートかつ男性的な力強さを表現。女雛はなで肩で、袖口はほどよく丸みを持たせたシルエットにし、繊細かつしなやかな女性らしさを表現しています。
また女雛の後ろ姿は、重なる衣装の一枚一枚の色彩が美しく見えるような着付けにこだわり、写実的な十二単の美しさを追求しています。
見えないところへの心遣い
胴体部分において他の職人と大きく異なるのは、腕の骨格となる針金の太さ。胴体に衣装を着せ付けた後、その腕を瞬時に折り曲げる工程(=腕折り/かいなおり)を経て人形の造形美は決定しますが、龍翠は太めの針金を使用しているため、触ったときの感触はもちろん、見た目にも着崩れをおこす気配のないかちっとした仕上がりを可能にしています。

▲ 指先だけでは簡単に曲がらない太さの針金。
衣装へのこだわり


男雛の衣装は"雲立涌(くもたてわく)"とよばれる古典柄。雲立涌柄は有職文様(※1)のひとつで、雲気(水蒸気)が立ち昇るさまを図案化したものです。雲気上昇から転じて"運気上昇"の願いが込められた吉祥紋様とされています。
女雛の衣装には対い鶴の紋様を配しました。二羽の鶴が上下で向かい合うデザインは"夫婦和合" "子孫繁栄"の意味をもつ、縁起の良い構図になっています。
シンプルなデザインの生地を用いたお人形は、派手な柄の生地を使ったものよりもボディラインが目立つのでなかなかごまかしが効きません。龍翠は出来上がりのシルエットに自信があるからこそ、積極的にこの有職衣装を用いています。
(※1)有職 / ゆうしょく・ゆうそく
平安時代より公家の邸宅の内部・調度品・服飾品などの装飾に使われていた文様で、幾何学的な柄が繰り返し紋様になっているのが特徴。見た目の派手さはなくも精緻な模様を織り出しているため上品さがあり、 時代に流されない普遍的な美しさを兼ね備える完成されたデザインともいえるでしょう。
お顔だち




凛とした美しさが感じられるお顔だち。男雛女雛ともにお歯黒をほどこし、女雛の髪には縁起物の紅白梅が丁寧に描かれた天然木のツゲ櫛が付属しています。
主張しすぎず主張して、主役をより美しく
人形をより美しく際立たせるために存在する周辺のお道具類。なかでも屏風や飾台は、全体のイメージを左右するほど重要な役割を担っています。
「主役の存在感を損なわずして、より魅力的な空間を演出するためのものづくりを」
そんなテーマと向き合いながら、職人は日々絵柄の構図や配色、そして質感に至るまで試行錯誤を繰り返し、卓越した技術をもって美しい製品をつくり続けています。


魔法のような金屏風。アクセントも効果的。
金屏風はひな人形でも五月人形でも定番中の定番商品。シンプルさゆえに、作りの甘い人形は粗が目立つように見え、逆に丁寧につくられた人形はその美しさがより際立つという魔法のような屏風でもあります。
この金屏風は、より上品で落ち着いた雰囲気を出すために、金紙の上に絹地を敷いた"裏箔(うらはく)"という手法を取り入れ、金特有の色調をあえて和らげて制作しました。
また屏風の開閉部分には金具の丁番を一切使わず、和紙でできた"羽根"とよばれる和紙丁番を使用する、いわば職人の伝統技術でつくる制作工程(本仕立)にこだわりました。

開閉部に切込が入っていて、両面に開く仕組みが特徴です。継ぎ目に隙間ができないので、見た目にもすっきりとした印象となります。職人の街、墨田区にある老舗屏風工房の片岡さんが生みだす技ありの工芸品です。

お道具には貝桶(かいおけ)をご用意しました。江戸時代には嫁入り道具の一つとされ、現在は雛道具の定番商品となっています。縁起の良い梅の絵柄を本金蒔絵でほどこしました。

桜橘は「さりげなく良いものを」を信条とする大正11年創業の節句人形造花工房、岡半が制作。染色、切り出し、組み上げに至るその全ての工程を一貫して手作業にこだわり作られています。
同社の得意とする花びらや葉の絶妙な色合いは、古来より桜を愛でる日本人の目で判断しているからこそ出せる風合いです。

電池式の木製LEDコードレス雪洞(ぼんぼり)。ほのかな灯りが人形を優しく包み込みます。火袋には手作業で桜を描き、灯りをつけていなくともあたたかい存在感があります。
ちょうちんの産地として有名な岐阜県では雪洞生産も盛んで、本製品を手がける岐阜市内の工房さんは明治25年から続く老舗。脇役ながらも本物志向にこだわり、台座には北海道産のサクラ、輪と骨にはホウの木と現在主流となっているプラスチックではない天然の"木製品"を使用しています。
湾曲している骨部は、熱の力を利用しながら丁寧に手作業で曲げるという念の入れよう。 ニッポンの職人技から生まれる、手仕事の優しい温もりが感じられるはずです。

細部に至るまで心配りが感じられるニッポンのものづくりの真髄と、伝統工芸品の普遍的な美しさが感じられる有職雛を傍に、末永くひなまつりをお楽しみ下さいませ。
商品詳細
作者・工房 | 望月龍翠 |
生産地 | 静岡 |
サイズ | 間口75 × 奥行44 × 高さ37 cm |
人形 | ■正絹 有職文様 ■藁胴 ■木手 |
屏風 | 本仕立三曲裏箔屏風 |
飾台 | 木製黒塗平台 |
道具 | 木製貝桶飾り(本金蒔絵) |
花類 | 桜橘 |
雪洞 | LEDコードレス木製手描き絵雪洞(電池付) |
付属品 | ■お手入れセット(毛バタキ・手袋・クロス) ■被布着 ■作者立札 |
注意事項 | ■手作りのためサイズや形状、色合いが各々多少異なります。 ■ご使用のモニターにより、実際の色と異なって見える場合がございます。 |
作者・工房について