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鈴甲子雄山イメージ

4代続く名門甲冑工房
鈴甲子雄山


甲冑工房 鈴甲子は今から約100余年前の明治時代、鈴木甲子八(初代雄山)により、五月人形の道具店として東京都墨田区に創業。根っからの職人であった甲子八は、次第に五月人形の主役である甲冑までをも手がけるようになり、その後本格的に甲冑づくりに専念し始めました。

大正~昭和~平成と時代は流れ、業界を取り巻く社会環境も創業当時とは大きく変化していますが、甲子八の職人魂は当代にも脈々と受け継がれています。

現在工房を取り仕切っているのは四代目雄山。1966年東京生まれ。本名"鈴木順一朗"。甲冑師の道を志し、三代目雄山(現・平安道斎)である父 道男氏のもと、本格的に製作を開始。

国指定伝統的工芸品 江戸節句人形 の制作者として活躍し、平成19年に経済産業大臣指定伝統工芸士に認定された実力派です。現在は拠点を千葉県鎌ヶ谷市に移し、日々甲冑制作を行っています。

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鈴甲子雄山の特徴とこだわり。

幅広いシリーズ展開


定番商品である平安~鎌倉時代の大鎧シリーズをはじめ、戦国武将模写シリーズ、国宝・重要文化財模写シリーズ、デザイン甲冑シリーズなど趣向の異なるさまざまな甲冑を制作しており、その作品総数は業界トップレベル。

四代目雄山の創作意欲は甲冑のみにとどまらず、創作人形工房 壹三 の総合プロデュースや節句人形職人ユニット 縫nui の頭原型デザインを担当するなど、業界の垣根を超え幅広く活動しています。多岐にわたる創作の礎となっているのは、チャレンジ精神を大切にする社風にあると四代目雄山は力強く語ります。

▲ 五月人形の定番商品 大鎧シリーズ

▲ 美術工芸品の佇まい 国宝・重要文化財模写シリーズ

▲ 戦国マニアも納得 戦国武将模写シリーズ

▲ 圧倒的な世界観と遊び心 創作人形工房 壹三

忠実への飽くなきこだわり


妥協を許さぬ職人気質が現代にも息づき、それは作品の隅々に見て取ることができます。たとえば戦国武将模写シリーズ。既存の甲冑に特徴的な兜の前立のみを付け替えて「名将◯◯モデル」と販売する工房の多いなか、雄山は制作する甲冑のもとへと直接足を運び、実地に調べあげることでその細部までを極力忠実に模写していきます。そのこだわりは写実的で洗練された"江戸節句人形"の伝統を踏襲しているだけでなく、つねに新しい作品に取り組むことで、職人たちの総合的な技術向上を目的としているからに他なりません。

また正確な情報が容易に手に入る時代だからこそ、目の肥えたお客さまに納得してもらえる製品を提供するためにはむしろ簡略化する方が難しいとも教えてくれました。このようなプロセスの積み重ねが技巧派甲冑工房としての地位を確立した所以でもあるのでしょう。

想像を即座にカタチにするプロ集団


現存する甲冑を忠実に再現したり、次々と湧き出すアイデアを事細かに具現化したり…。それだけでも十分大変な作業ではありますが、これらの作業を"迅速かつ高品質"で世におくりだす驚異的な製造ラインこそが、他の職人たちが容易に真似することのできない甲冑工房鈴甲子雄山の真骨頂です。

繁盛期にはおよそ30名のスタッフが常駐し、それぞれが部門(パーツ)ごとに振り分けられ各自の仕事をこなしていくのですが、その中心となり取りまとめているのは四代目雄山ただひとりではありません。

現在工房には経済産業大臣指定の伝統工芸士4名と東京都指定伝統工芸士1名が所属しており(※同工房内に伝統工芸士が5名も在籍しているのは異例中の異例)、彼らに引けを取らない経歴と技術力を合わせもつ職人がほかにも数名在籍しています。各々がそれぞれの部門におけるスペシャリストとして機能することにより、他に類を見ない製造ラインを可能にしています。


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また分業体制でのものづくりにおいて、職人相互のコミュニケーションは必要不可欠なのですが、そこで時短の切り札となっているのが四代目雄山の画力にあります。作品のイメージやその細部にいたるまでのディテールを言葉のみならずビジュアルで伝達することで、より迅速かつ正確な作業を可能にしているのです。


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近年、女性の職人さんたちを中心とした"おぼこ丸プロジェクト"が始動。"丸く円満なる人生を願う"をコンセプトに、柔軟な発想力と色彩感覚を併せ持つ女性目線をもって今までにない五月人形づくりにも挑戦しています。女性の社会進出促進の一翼を担うこのプロジェクトにより、次世代に繋がる市場を開拓していくことはもちろん、新たなる女性プロフェッショナルの誕生が期待されています。


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文化の架け橋。甲冑からKATCHUへ。


少子化や生活様式の変化に伴い、これまでとは異なる情報発信にも積極的に力を入れている鈴甲子雄山。自社ホームページSNS を駆使し、節句業界のみならず多方面に工房の魅力を伝えています。

また商品だけでなく、その背後にある"ニッポンの伝統文化や伝統工芸"をより多くの人たちに身近に感じてもらえるよう、節句を迎える人たち以外の目にも触れられるようさまざまな作品展へと参加。

ときに発表の場を海外にまで拡げ、国内の仕事だけでは決して気づくことのできなかった驚きや発見を現地で直に感じることにより、そのインスピレーションを再度制作現場に反映させるという固定概念に縛られない新たな価値観を持って、ものづくりに挑戦しています。

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▲ Japan Expo in Paris(2012)。パリ市の北に位置するノール・ヴィルパント展示会会場にて、甲冑と創作人形を出展。

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▲ Japan Expo in USA(2013)。シリコンバレーのサンタクララにて、出展のほか雄山自らが甲冑文化をプレゼン。

伝統という名ばかりに決して依存することなく、現代の空気感に柔軟に対応する懐の深さと圧倒的な行動力で道を切り拓く鈴甲子雄山。今後もその動向にますます注目が集まる老舗甲冑工房です。





鈴甲子雄山 ■経済産業大臣指定伝統工芸士 ■日本人形協会認定節句人形工芸士

明治時代、初代雄山"鈴木甲子八"により東京都墨田区に創業。業界屈指の技巧派として不動の地位を確立。国宝や重要文化財などの現存する甲冑を実地に調べあげ忠実に模写する技術は極めて高く、その作品の数々は重厚且つ繊細。専門家たちからも高い支持を得ている。 ▶インタビューページへ